理学療法士について【一般向け】

はじめに

つい先日の2月19日に理学療法士試験が行われ、4月からまた新たな理学療法士が増えます。最近は理学療法士という職業が世間に少しずつ浸透してきている印象がありますが、まだまだ認知度は低く、どういう仕事をするのか分かりにくい一面があります。
そこで今回は理学療法士という職業について解説していきます。

理学療法士とは


理学療法士という職業を一言で表現するなら、私は「運動のプロ」とします。人間が普段何気なく行っている、寝返り・立ち上がり・歩行などの日常生活動作をとことん追求し「どうしてこの人はこの動作ができないのか?逆にどうしたらできるようになるのだろうか?」を人間生理学や運動力学などの観点から理屈的に判断します。この判断を基にリハビリテーション(以降リハビリとします)を行ったり、バリアフリーリフォームや福祉用具の選定を行います。

これら人間生理学や運動力学などは、スポーツ分野にも応用することができ、スポーツトレーナーや指導者として活躍する理学療法士もいます。
理学療法士が特に優れているのは「予後予測」だと感じています。聞きなれない言葉だと思いますが、簡単に説明すると「その方が今後どのように変化していくの予測」が予後予測です。

例えば80歳女性のうめ子さんがいたとします。

写真はうめ子さんのイメージです

うめ子さんの身体の能力、全身の筋肉量、関節の状態、運動量、持病などの様々な情報をみて・触って・聞くことで、うめ子さんは今後どのように変化をするかの予測がつきます。この予測を基に転ぶ可能性があるならば先手を打ち転ばないような環境を作り、数年以内に歩けなくなる可能性があるならばどういう運動をしたらよいかを伝えます。

この予後予測は高齢者だけに限らず若年者にも同じように行うことができます。歩き方をみるだけで「あの人の○○の筋肉が弱そうだ」というのがわかり、「今後あの人は年齢を重ねるにつれて膝が悪くなるだろうな」という予測を立てることができます。
ただ若年者は高齢者に比べ動きに多様性があるのでみただけで判断するのは非常に難しいです。

多様性とは、筋肉の弱い部分を誤魔化す動き

高齢者は多様性が乏しくなるため、みただけでもある程度予測は立ちます。

理学療法士の勤務先

理学療法士の勤務先としては病院、老人施設やデイサービス、訪問リハビリ事業所があり、デイサービスと訪問リハビリについては自宅で生活している方々へ対して行うリハビリのため、在宅分野と呼ばれています。
このうち病院と老人施設に勤めている理学療法士が約9割を占めており、在宅分野で勤める理学療法士が非常に少ないが故に理学療法士の専門的なアドバイスが欲しいけども得ることができないケースが多くあります。
たしかに私個人としても、最初は病院に勤務し色々な症例を学び、その後在宅分野で勤務することを推奨します。何故なら病院に勤務している理学療法士の大半以上は在宅分野の経験がないからです。病院だけの経験では在宅に退院するうえでの知識が乏しく「この患者さんは自宅退院は無理」と判断をされ、病院に長期入院するケースや老人施設への退院となってしまうことがあるためです。

希少業種「理学療法士の福祉用具屋さん」の役割

リハビリフォームは病院勤務を経て福祉用具屋さんになった理学療法士がいるため、多角的な視点で入院中の患者さんや自宅で生活している方をみることができます。
前述した予後予測をすることができるので、他の福祉用具屋さんにはできない一歩先をいくサポートをすることができます。周囲の人はもちろんのこと、自分自身でも気づけない身体の能力・筋肉量の低下をリハビリフォームのスタッフは見抜くことができ、どうしたら安全に生活できるか、どういう運動をしたら身体の能力・筋肉量の低下を予防できるかを問題が生じる前にお伝えすることができます。


また、病院関係者の方から入院中の方が自宅退院できるか評価してほしいと依頼を頂くこともあります。

自宅退院するうえで必要な身体の能力、家屋環境、家族環境、介護保険などの情報を病院スタッフと共有し自宅退院が可能か判断しています。
中でも多いのは「条件つきの自宅退院」です。自宅の○○に手すりを取り付けること、○○の動作が難しいから××の福祉用具を利用していくこと、など現状では自宅退院は厳しいが、手すりや福祉用語を利用すれば自宅退院できるというケースが大半以上を占めます。
病院でその方の身体能力を誰よりも知っているリハビリスタッフと病院勤務経験があり、現在は在宅分野の知識もあるリハビリフォームスタッフを掛け合わせることで盤石の退院調整をしています。

実際にリハビリフォームがサポートさせて頂くようになってから

本人

前よりもずっと生活しやすくなりました

本人

2階に行けなかったのに一人で行けるようなったわ

家族

前は全く運動しなかったのに自主的に運動するようになりました


との声を頂き、理学療法士の福祉用具屋さんとしての役割を果たせていると実感しています。

最後に

個人的には今後介護予防教室の開催や理学療法士として高齢者だけではなくスポーツ選手のサポートもしていきたいなと考えています。介護というのは誰しも経験することで、皆がみんな介護というのはとても身近なものだと認識してほしいからです。何かあってから慌てるのではなく必ずくるその時に備えて今から漠然とした知識でもいいので知ってもらいたいからです。


スポーツ選手のサポートについては、特に体が成長しきっていない小・中学生は身体の基盤作りや正しい運動フォームの取得が非常に重要なのでスポーツ動作にも精通している理学療法士が指導者となることで将来のケガの予防や今後見守り続ける親御さんに対しても運動の正しい知識を伝えることができるからです。
リハビリフォームではその他にも石狩という土地で理学療法士として何ができるかをこれからも模索していきます。

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